SPECIAL FEATURE

女性の働き方革命
「ロージー・ザ・リベッター」運動と女性の社会参加

第二次世界大戦(1941-1945)時の米軍は、志願兵による常備軍と男性の選抜徴兵制で成り立っており、大規模な男性徴兵により労働力不足に直面。米国政府はこの問題に対処すべく、「ロージー・ザ・リベッター(リベット打ちのロージー)」として知られるキャンペーンを展開し、軍需工場や造船所に女性労働者を積極的に採用。1944年には、労働人口の三分の一を女性が占めたという。
戦時下という外発的動機付けだったとはいえ、女性たちは自主的に仕事を行い、内発的に達成感を得たり向上心を高めることにつながり、後の女性の社会参加を加速させる大きな要因となった。
フランス革命で国民から召集された軍隊が、職業軍人の精鋭からなる軍隊を圧倒したことから、フランスやドイツなどの国では、古くから徴兵制が採用された。一方でアメリカやイギリスのように、志願兵制に基本を置く国も多い。日本では1873年(明治6年)に徴兵令が発布され、第二次世界大戦にいたるまで定着した。

Category : 歴史

Date : 2023.10.03

参考文献

写真で見る女性と戦争(ブレンダ・ラルフ・ルイス著、松尾恭子訳/原書房刊)

女たちが変えるアメリカ(ホーン川嶋 瑤子著/岩波書店刊)

アメリカンビュー

女性ジャーナリストの眼

第二次世界大戦では、女性はさまざまな分野に活躍の場を広げ、記者やカメラマンとして、戦場を取材する女性ジャーナリストも増えた。第二次世界大戦における死と悲しみの渦中、女性ジャーナリストたちは、偏見や妨害に屈せず、戦争の記録を刻み続けた。
当時のアメリカ社会に息苦しさを感じていた彼女たちは、仕事に対する情熱に加え、大胆で並外れた行動力発揮し、戦火の下で、ジャーナリズム界に新たな光を放ち、アメリカ社会に希望をもたらした。

"We Can Do It!"(私たちにもできる!)

第二次世界大戦では大規模な男性徴兵により、アメリカ国内で労働力不足が発生。政府は女性に向けて大規模なプロパガンダキャンペーンを展開し、女性も戦争に直接関与し、男性の代わりに肉体労働を行う必要があることを訴えるため、さまざまなプロパガンダポスターが制作された。

戦場から工場まで

女性たちは、アメリカ軍の中で看護師、通信員、飛行士、整備士などさまざまな職種に従事。また、艦船、航空機、車両、兵器を製造する工場で働く女性労働者たちは1944年までに230万人に達し、溶接やリベット打ちなどもこなす女性たちの姿は「ローズ・ザ・リヴェター(Rosie the Riveter)」として象徴化された。労働力の構成も、それまでの未婚、若年層から、既婚・子どものいる中年層、さらに中流階級にまで拡大した。
戦争が終わると、女性は家庭に戻るよう政府のキャンペーンが行われたが、仲間と共に働く喜びや自分の能力に自信を持った女性たちはその熱意を失わず、女性の労働市場への参加は続いた。そして、社会的・政治的な平等を勝ち取るために運動を展開した。

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