世界の大学力

SPECIAL FEATURE

世界の大学力

高等教育機関では、紀元前7世紀の古代インドのタキシラ僧院まで遡る説もあるが、講義や演習といった授業の方式、学年暦、学位授与権、試験方法、学生寮、学部、一定の自治権を持った教授団といった、現在の大学の特徴をなすものは、中世欧州の発明物とされ、12世紀から現在まで原型は変わっていない。実に800年以上にわたり、基本的なシステムを変化させないまま、現在まで継承している稀な社会制度。

Category : 歴史

Date : 2021.08.25

参考文献

大学淘汰の時代(喜多村 和之著/中央公論社刊)
大学のマネジメント・その実際(大坪 檀著/学法文化センター刊)
海外大学における産学連携のマネジメント・制度に関する調査
大学図書館の現状と課題
国際バカロレア
私学助成について

800年継承する大学システム

大学は学位を授与するライバルを持たない独占機関で、800年以上、各時代の環境に自身を適応させ、同一性を保って生き残ってきた。かつての大学のパトロンは、教皇、国王や領主、都市だったが、大学の真のパトロンは学生(消費者集団)で学生争奪戦が起こっている。
社会が学歴を資格として要求する限り、資格授与権を独占する大学は機能するが、各大学それぞれが自負するカリキュラムの編成と開発視点以外に、学生は目に見えない各大学が持つ隠れたカリキュラムやカウンターカルチャー(Counterculture)に注目する。

大学の可能性と限界

日本の大学は、7世紀(671年)に、官僚養成を目的とした「大学寮」を天智天皇が創設した記述が見られるが、制度的には1877年の東京大学が創始とされる。東京大学が国の高等教育機関の大学として認められたのは、1918年の大学令成立以降とされる。1944年には、帝大7校、官立大12校、公立大2校、私立大27校、合計48校の大学が設立された。
第二次大戦後、1948年に新制大学が発足してから1986年までに、485の新しい大学が誕生し、3校が廃止された。また短期大学制度が発足した1950年から1986年までに、647校の短期大学が設立された。このうち4年生大学に移行したり、廃止され淘汰された短期大学は98校だったが、欧米に比べ閉校の比率は極めて低い。背景に1975年からの私立大学への国庫経常費助成金があるといわれる。金額規模は、2020年度で約3,000億円(私学全体では約4,100億円)。2020年時点での日本の大学総数は801校。

大学の国際競争力

英国の大学評価機関であるクアクアレリ・シモンズ(QS)が毎年公表している世界の大学のランキングは、多くのメディア社との提携により、教育、研究、雇用機会の育成、国際化の側面に沿って、大学のパフォーマンスを評価し、国際的な大学ランキング調査として定評がある。以前は高等教育情報誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」と共同で大学ランキングを発表していたが、現在ではそれぞれが大学をランキングしている。
日本の大学を評価する“ものさし”は、学生の学力を測る偏差値指標が主流だったが、米国では相互評価(チェック・アンド・バランス)が前提で、教授陣の質を学生が評価する指標も測定される。
QSの大学ランキング方法は、学術査読(40%)、教員・学生比率(20%)、論文被引用数(20%)、雇用者の評判(10%)、留学生比率(5%)、外国人教員比率(5%)の各指標の測定に基づく。また、「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」誌は、世界93カ国と地域の1,527大学に対し、教育(teaching)、研究(research)、知識の伝達(knowledge transfer)、国際的な展望(international outlook)の4分野13のパフォーマンス指標で評価している。

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