SPECIAL FEATURE

ヌード

この特集では裸体が描かれた絵画、彫刻をご紹介します。国内外の有名アーティストたちは人の"ありのままの姿＝ヌード"の美しさをどのように表現したのでしょうか。有名作品のサンドロ・ボッティチェッリ作『ヴィーナスの誕生』をはじめとする女神のヌードから葛飾北斎の春画までピックアップした4つのカテゴリーからご紹介します。

裸のヴィーナス

本来は囲まれた菜園を司る神であったヴィーナス（ウェヌス）は、後にギリシア神話におけるアプロディーテーと同一視され、愛と美の女神と考えられるようになりました。一般には半裸或いは全裸の美女の姿で表されるヴィーナスは固有の神話が残っておらず、ローマ神話でヴィーナスに帰せられる神話は本来アプロディーテーのものであるとされています。ヴィーナスは女性の美しさを表現する際の比喩として用いられたり、愛神の代名詞としても用いられることが多々あり、性別記号で女性は「♀」と表記されるが、本来はヴィーナスを意味する記号なのです。

『ヴィーナスの誕生』サンドロ・ボッティチェッリ / ウフィツィ美術館

『鏡のヴィーナス』ディエゴ・ベラスケス / ナショナル・ギャラリー

『ヴィーナスの誕生』ウィリアム・アドルフ・ブグロー / オルセー美術館

『ヴィーナスの誕生』アレクサンドル・カバネル＆アドルフ・ジョルダン合作 / ダーヘシュ美術館

『ヴィーナスの誕生』ニコラ・プッサン / フィラデルフィア美術館

『ヴィーナスの誕生』Henri Gervex / Musee de la Ville de Paris, Musee du Petit-Palais, France

『ヴィーナスの誕生』Henri-Pierre Picou / Galerie Nataf, Paris, France

『ヴィーナスの誕生』オディロン・ルドン / Musee de la Ville de Paris, Musee du Petit-Palais, France

『ヴィーナスの誕生』ウージェーヌ・アモーリ＝デュヴァル / リール美術館

『Venus in a landscape』ルーカス・クラナッハ / ルーヴル美術館

『Venus』ルーカス・クラナッハ / シュテーデル美術館

『Venus or Standing Nude or Nude Medici; Venus』アメデオ・モディリアーニ / 個人蔵

『ミロのヴィーナス』ルーヴル美術館

『Greek art. Aphrodite in a shell. Statuette. Gypsum.』エルミタージュ美術館

美しいヌード

古今東西数多くのアーティストによって美しいヌードが描かれてきました。美しさの表現方法はアーティストによって様々で、肌の色や体格、何が一緒に描かれたかによってその時代背景も見えてくるのではないでしょうか。

『Gabrielle d'Estrees (1573-99) and her sister, the Duchess of Villars』ルーヴル美術館

『裸のマハ』フランシスコ・デ・ゴヤ / プラド美術館

『The Cicada』ジュール・ジョゼフ・ルフェーブル / ビクトリア国立美術館

『Nude Woman; Femme Nu』藤田嗣治

『Hylas and the Nymphs』ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス / マンチェスター市立美術館

『ダナエ』グスタフ・クリムト / 個人蔵

『Oedipus and the Sphinx』ギュスターヴ・モロー / メトロポリタン美術館

『Female Nudes and Frogs』アルフォンス・ミュシャ

『Two nude women and head of a woman』パブロ・ピカソ / 個人蔵

『Nuda Veritas』グスタフ・クリムト / オーストリア演劇博物館

『Water Nymphs』Gaston Bussière / 個人蔵

『死霊が見ている』ポール・ゴーギャン / オルブライト＝ノックス美術館

『Nude in the Bath』ピエール・ボナール / musée d'Art moderne

『Young Girl Standing』アンリ・マティス

『The Girlfriends』グスタフ・クリムト / Schloss Immendorf, Austria

肉体美～絵画・彫刻～

彫刻での隆々とした筋肉の表現は大迫力です。古代ギリシャ人の裸体の像は数多く見受けられますが、オリュンピア大祭とも呼ばれる古代オリンピックの中では、参加するのに全裸にならなければいけない競技もあったそうです。

『ダビデ像（正面）』ミケランジェロ・ブオナローティ / アカデミア美術館

『ダビデ像（側面）』

『Discobolus』ミュロンのコピー / バチカン美術館

『Statue of Poseidon』アテネ国立考古学博物館

『Marcellus, variously identified as Germanicus, Caesar and Octavian』ルーヴル美術館

『考える人』オーギュスト・ロダン / デトロイト美術館

『ラオコーン像』バチカン美術館

『テルモピュライのレオニダス』ジャック＝ルイ・ダヴィッド / ルーヴル美術館

『Saint Sebastian』グイド・レーニ / 赤の宮殿

『Naked Young Man Sitting by the Sea』ジャン＝イポリット・フランドラン / ルーヴル美術館

『エンデュミオン－月の印象』アンヌ＝ルイ・ジロデ＝トリオソン / ルーヴル美術館

『Polyphemus Attacking Acis and Galatea』アンニーバレ・カラッチ / パラッツォ・ファルネーゼ

『Patrocles』ジャック＝ルイ・ダヴィッド / トマ＝アンリ美術館

春画

浮世絵の一種でもあり、笑い絵や枕絵などとも呼ばれる春画（しゅんが）。幕末に起きたジャポニスムによって、西洋では浮世絵が高く評価されましたが、春画は画題が猥褻であるとの理由から当時は人気がなかったようです。後に世界中で美術として高評価されるようになった春画は国内のみならず海外美術館にも多数収蔵されています。