SPECIAL FEATURE
背景を省いて人物を強調して描く東洋絵画に比べて、西洋絵画は自然の中に人物を溶け込ませて人も自然も見たままを描く特徴があります。東洋と西洋では自然に対する考え方に違いがあり、東洋では自然は人とともに共生するものとして考えられ、一方西洋では自然は人が支配するものだという考え方がありました。
この特集では、新古典主義やロマン主義といった初期の絵画史において人間が主体として描かれていたトレンドから、近年の印象派においてはモチーフが人間主体から自然主体へと変わっていく様子を追います。
美術史において新古典主義は18世紀中頃~19世紀初期のフランスで広まりました。16世紀以降のバロック美術やロココ美術に続いて生まれたこの様式は、写実で、まじめな描写方法が特徴です。あくまで人が主体で、背後に少し見える木や草花は、人間が自然の支配者であることを主張しているようにみえます。
ロマン主義は18世紀後半から19世紀にかけて広まった様式で、新古典主義のまじめで規範的な表現を断ち切り、感情や感動を絵に表現する試みが行われました。人の周りに描かれる風景は、中心に描かれた人間の内面を表現しているように見えます。
写実主義になると、今までのロマン主義などでもてはやされてきた神話や歴史、聖書から脱却し理想ではなくありのままを描くことが流行となりました。特にミレーは聖書とは真逆の農民の姿などをモチーフにし、日常生活や風景が主題となりました。
印象派とは19世紀後半のパリに起こった芸術運動で、それまでアトリエにこもって描いていた絵画を外にでて、光あふれる屋外で風景などを描いたことが一つの特徴です。緑あふれた場所で、絵の具を混ぜず、サッとラフなタッチで描くスタイルが特徴です。
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