ステンドグラスの世界

11世紀から13世紀にかけてのフランスのステンドグラス。ゴシック様式のシャルトル大聖堂の西側にあるバラの窓。ユネスコの世界遺産。「最後の審判（Last Judgement）」を示している。「最後の審判」は、多くの宗教が共有する終末論的世界観で、芸術的描写に大きな影響を及ぼした。

12世紀から15世紀、19世紀から20世紀にかけての英国のステンドグラス。英国南東部ケント州にあるカンタベリー大聖堂のステンドグラス。イングランド国教会の総本山として知られ、ユネスコの世界遺産。ベケットの墓の巡礼者を示したトリニティチャペルの奇跡の窓。1213年から1216年にかけて制作された。

11世紀から15世紀にかけての英国のステンドグラス。ヨーク大聖堂 （York Minster）の主席司祭の席から見えるステンドグラス。正式名称はヨークの聖ペトロ首府主教座聖堂（The Cathedral and Metropolitan Church of St Peter in York）で、イングランド国教会ではカンタベリー大主教に次ぐ高位聖職者が管理する。

13世紀から14世紀にかけてのフランスのステンドグラス。パリ中心部のシテ島にあるゴシック様式の教会で、聖なる礼拝堂（The Holy Chapel / La Sainte-Chapelle）の上部。ルイ9世が、1239年から収集しはじめた聖遺物を納めるために建設を命じた。ゴシック建築の傑作といわれる。

15世紀のイタリアのステンドグラス。フィレンツェのサンタマリアデルフィオーレ大聖堂のステンドグラスで、「キリストの復活」を示したパオロ・ウッチェロ（Paolo Uccello, 1397-1475）が1450年に手掛けた作品。パオロ・ウッチェロは初期ルネサンスの画家。ゴシック様式と遠近法に代表される科学的アプローチを融合させた芸術作品を創出した。

オーストラリアのシドニーにあるセントアンドリューズ大聖堂（St. Andrew's Cathedral）の内部。ステンドグラスは、1838年に設立され、1844年に教会関係のステンドグラス製造を専門とする世界有数のメーカー「ハードマン社（Hardman＆Co）」が制作。同社のステンドグラス事業は、2008年に閉鎖された。

スイスのフリブール大聖堂（Fribourg Cathedral）は、ローマカトリック大聖堂で、1283年から建築がはじまり1430年に完成。正面にハリソン・ウェルトリッヒによるバラ窓がある。ポーランドの画家ユゼフ・メホファーによって設計され、1896年から1936年にかけて、地元の職人Kirsch＆Flecknerによってつくられた。

聖ミカエル大聖堂教会として知られる、コヴェントリー大聖堂（Coventry Cathedral）は、モダニズムデザインを採用し、ジョン・パイパー（John Piper）がデザインしたステンドグラス「洗礼堂の窓」は有名。1940年に焼夷弾によって破壊された中世の建造物は、バジル・スペンスによって設計され、1962年に再建された。

米国メリーランド州ボルチモアの「ブラウンメモリアル長老派教会（Brown Memorial Presbyterian Church）」には、ルイス・コンフォート・ティファニー（ Louis Comfort Tiffany）がデザインしたステンドグラスの窓が高くそびえるアーチ型の天井がある。ルイス・コンフォート・ティファニーは、宝飾で有名なティファニー創設者の息子で、米国アール・ヌーヴォーの第一人者として知られ、主にステンドグラスやモザイク加工したガラスランプの製作における芸術家として名を馳せている。

ニューヨークの5番街にあるエマニュエル寺院（Temple Emanu-El）は、世界最大のシナゴーグ（ユダヤ教の会堂：synagogue）の1つ。当初、1845年にドイツ系ユダヤ人によって設立された建物は、その後移設を繰り返し、現在の場所にある建物は、1929年に建てられた。

ステンドグラスの窓から英国ヨーク大聖堂の床に輝く太陽

フランスで唯一のアールヌーボー様式オペラハウス、ヴィシー歌劇場。

アイルランド、コーク市のクロフォードアートギャラリーの階段。透過光で見るステンドグラスの窓と、反射光で見る絵画の作品が並ぶ。

スペイン、バルセロナのサグラダファミリア内のステンドグラスの窓

紀元前15年から西暦25年の間に作られたローマのカメオガラスの花瓶。大英博物館所蔵。

ルイス・カムフォート・ティファニー(1848-1933)は、米国のアール・ヌーヴォーの第一人者。主にステンドグラスやモザイク加工のガラスランプの製作などにおける芸術家として名を馳せている。

イランの都市シーラーズに建設されたマスジェデ・ナスィーロル・モスク (Nasir al-Mulk Mosque)のオルシ（Orsi：ペルシャのステンドグラス）。光は、イスラム教における神の象徴と考えられていて、オルシを介した光が、建物の内部にカラフルな空間を作り出す。イスラム美術の特徴でもある幾何学的形状をデザインに使用する。

ダニエル・スワロフスキー（Daniel Swarovski）は、ボヘミア北部（現在のチェコ共和国）で生まれたオーストリアのガラスカッター。父親が所有する小さなガラス工場で、見習いを務め、ガラス工芸技術に熟練。1892年、自らクリスタルガラスの製造を容易にする電気切断機を発明し特許を取得。1895年に「スワロフスキー・クリスタル」社を創設。

ダホメ王国（Dahomey）のビーズ（beads）素材。ダホメ王国は、現在のアフリカ・ベナンにあったアフリカ人の王国。17世紀に創建され、19世紀にフランスの軍隊に征服され、フランス領西アフリカに組み込まれた。西アフリカの歴史を紐解くと、奴隷狩りと専制軍事国家として特異な位置を占めていた。

ジョルジュ・ルオー（Georges Rouault）のステンドグラス。ルオーはフォーヴィスム（仏: Fauvisme：野獣派）に分類される19世紀～20世紀のフランスの画家。フォーヴィスムは、20世紀初頭の絵画運動の名称で、ルネサンス以降、写実主義とは決別し、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現した。ルオー本人は、「派」というカテゴライズとは一線を画し、ひたすら自己の芸術を追求した孤高の画家だった。