デジタルノマド

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デジタルノマド
‐116兆円新市場熱視線‐

デジタルノマド(Digital Nomad)は、ITを活用して、場所に縛られず、世界中のさまざまな場所で仕事を進めるリモートワーカー。世界各地に点在する英語を話すデジタルノマド約4,000人を対象に、A Brother Abroad社が2021年に実施した調査によると、世界のデジタルノマド人口は推定3,500万人以上、さらに今後3~4年で倍増すると予測される。平均月間支出額は1,875ドルで、経済効果は全世界で総額7,875億ドル(約116兆円)に達する。
年代別では30歳代のデジタルネイティブが半数を占め、20歳代と40歳代が、それぞれ約2割。男女比は、ほぼ半数。全体の31.5%がフルタイムで企業に雇用される「Digital Nomadic Employee」。職種では「IT、テクノロジー」と「メディア、広告、PR、マーケティング関連」が、それぞれ2割弱。デジタルデザイナー、作家、eコマース、起業関連の従事者やスタートアップに関わる人も多い。

Category : 経済

Date : 2023.09.08

世界中の国々が新たなビザ政策を導入

デジタルノマドを自国に誘致する動きが世界で急増。デジタルノマドビザ発給国は、2021年2月時点では21カ国だったが、2023年6月には58カ国と3倍近くに増えた。滞在中の消費による地域経済への貢献だけでなく、付加価値税、輸入関税、申請料などの税収への貢献への期待が高まる。
スペインの小さな町では、若い世代のデジタルノマド誘致に、1世帯あたり3,000ユーロ(約47万円)を支援する取り組みや、出産1人につき、さらに3,000ユーロを支給。スイスでは田舎移住者に約300万円が支給されるなど、高齢化、過疎化に悩む地域課題解決への一助として、デジタルノマド誘致に力を入れる。
また、デジタルノマド誘致に力を入れている国の中には、長期にわたり高学歴の人々が国外に転出する「頭脳流出」がみられ、こうした頭脳流出を逆転し自国に呼び込むチャンスとして捉えている国も少なくない。

誘致の切り札は所得税の優遇措置

デジタルノマドビザの発給要件は、国によってバラつきがみられるが、収入要件、医療保険の加入義務は共通している。ドイツや台湾の3年間、ノルウェーやタイの4年間を除き、ノマドビザでの滞在期間は1~2年(更新可)の国が多い。また通信技術を使用して働くことの証明、国外企業との雇用契約または自営業の証明などを求められる。
所得税については、たとえばマレーシアの海外企業雇用者やフリーランスから得た収入は不課税、マルタの地方所得税は完全免除、スペインなどの非居住者向けの優遇所得税率を最大6年間適応など、優遇措置が設けられる。デジタルノマドにとって、所得税などの税を巡る条件への関心は高く、渡航先(移住先)を選ぶ際の重要な前提条件となることが多い。

日本も新たなビザ制度を導入へ

無計画感が否めないインバウンド推進によるオーバーツーリズム問題、人口減、地方から都市への人口流出による過疎化に悩む日本でも、デジタルノマド誘致に注目が集まる。「経済財政運営と改革の基本方針2023」には、デジタルノマドビザ(国際的なリモートワーカー査証)の導入に向けた制度整備が盛り込まれた。
内閣官房、内閣府、デジタル庁、法務省、総務省、財務省、厚生労働省、観光庁、外務省から構成される省庁横断チームで準備が進められ、在留資格など制度面も含めた課題についての把握・検討を行い、2023年度中の制度化を行う方針。
デジタルノマドたちの日本への関心は高い。福岡市では、2023年10月、世界のデジタルノマドを日本に誘致する「COLIVE FUKUOKA, JAPAN」が1ケ月間実施される。

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