SPECIAL FEATURE
19世紀、オランダのバンホーテン、英国のジョセフ・フライ、スイスのアンリ・ネスレとダニエル・ペーター、ロドルフ・リンツらの発明に起因する技術革新は、スイスのネスレ社、リンツ社、カイエ社、英国のキャドバリー社、ロントリー社、米国のハーシー社など、続々と大手食品企業を誕生させた。
フランスのパリで開催される、世界最大のチョコレート見本市「サロン・デュ・ショコラ」には、2019年、世界60ヵ国から約500の出展者と著名なショコラティエ、約13万人が来場。日本でも、東京会場だけで4万人以上を動員した。また、日本では、2016年度から「チョコレート検定」が登場し、1万2,000人以上が受験している。
Category : 歴史
Date : 2020.12.13
The Science of Chocolate 3rd Edition (Stephen T. Beckett著 / Royal Society of Chemistry刊)
The chocolate tree: a natural history of cacao. (Young, A. M.著 / Smithsonian Institution Press刊)
紀元前1900年には、メキシコのモカヤの人々がカカオを発酵させて飲用(ショコラトル)し、7世紀にはユカタン南部の低地でマヤによってカカオが栽培されていた。
スペインの探検家・征服者エルナン・コルテス(Hernan Cortes)によって、欧州に持ち込まれた16世紀には、メキシコのアステカとペルーのインカによって、農園でカカオの木が栽培されていた。カカオは貴重品とされ、貨幣として使われ、価値は品質や種類によって異なった。カカオはコーヒー同様に、薬として飲用され、味に影響を与えないよう木製のモリニージョ(molinillo:撹拌棒)で泡立てて生成され、現在に至っている。
18世紀には、チョコレートは貴族や富裕層の間で、贅沢な飲み物として定着。その後、19世紀の技術革新によって、カカオが現在の固形チョコレートとして食されるようになった。先駆けはオランダのバンホーテン(Casparus van Houten)で、1828年、お湯に溶けやすいココアパウダーを生成する目的で、カカオマス(cocoa mass)からココアバター(cocoa butter)を抽出する油圧式の圧搾機を開発。ココアパウダーとココアバターを分離する製法を確立。製造過程で取り除かれるカカオの油分(ココアバター)から、1847年に英国のジョセフ・フライ(Joseph Fry)が、固形のチョコレートを開発した。
チョコレート専門の菓子職人ショコラティエ(仏: Chocolatier、女性形はショコラティエールchocolatiere)は、加工技術や装飾を担い、専用のフェアトレード農園と契約してカカオを調達。最近では、自らジャングルに出向き、カカオの原種を採取し、自前のカカオ農園を営むショコラティエもいる。
フランスのパリで開催される、世界最大のチョコレート見本市「サロン・デュ・ショコラ」には、2019年、世界60ヵ国から約500の出展者と著名なショコラティエ、約13万人が来場。日本でも、東京会場だけで、4万人以上を動員した。また、日本では、2016年度から「チョコレート検定」が登場し、1万2,000人以上が受験している。
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