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国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature)のレッドリスト2020では、絶滅の危機に瀕している野生生物は、3万5,765種にのぼる(2020年12月時点)。日本に限れば、前年調査と比べ絶滅危惧種が40種増加し、合計3,716種となった。うち鳥類は環境の影響を受けやすく、約14%を占める。絶滅危惧種に指定されてしまった鳥類の4分の3は、森林を主な生息地としており、現在でも1秒間に1,650平方メートルの森林が地球上から消失。28秒ごとに東京ドーム1個分の森林が消失していると試算される。
Category : 教育
Date : 2021.04.28
米国の環境活動家レスター・ブラウンが設立したアースポリシー研究所の調査によれば、木材の伐採や農園への転換による森林破壊が急速に進んでおり、世界中で鳥の数が激減している。とりわけボルネオ島やスマトラ島の低湿地熱帯雨林と南米のアマゾン川流域の熱帯雨林や熱帯草原地帯(セラード)は深刻で、森林に生息する鳥類は、4分の3が絶滅の危機に直面している。また鳥類にとって、生息地の消失に次ぐ第2の脅威は食用やペット売買のための狩猟・捕獲など、人間の直接的利用のための搾取で、絶滅の恐れがある鳥類の3分の1がその影響を受けている。
現存する鳥類は約1万種で、うち8分の1に相当する1,212種が絶滅の危機に直面している。日本に生息する野生の鳥類の4分の3(約400種)は、太平洋、北米大陸、中国、ロシア、東南アジア諸国などを渡っていることが確認されている。日本では、ワシントン条約(CITES:Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)、ラムサール条約(Ramsar Convention)、二国間渡り鳥等保護条約と協定(bilateral convention and agreement for the protection of migratory birds and their habitats)の3つの国際条約を締結して保護している。
人類の活動によって約100万種の動植物が絶滅危機にさらされている。環境汚染は絶滅危惧鳥類の12%に影響を与え、世界中の動植物種の3分の1が、気候変動により2050年までに絶滅する可能性が指摘されている。北極・南極地域は特に気温上昇の影響を受けやすく、南半球ではペンギン全17種のうち、すでに10種の絶滅が危惧されている。
象牙の違法取引はよく報告されるが、東アジアの熱帯雨林に生息するオナガサイチョウは、現在絶滅の脅威にさらされていると、英国の環境保護主義者メアリー・コルウェルは警鐘を鳴らす。オナガサイチョウのクチバシ上部のカスク(固い塊)は、黄金色の象牙と呼ばれ、彫刻を施す工芸品の高級素材として珍重。象牙の3倍の値段で違法取引され、密猟ハンターによって毎年約6,000羽が殺されていると推定される。
2000年以降、少なくとも25種の鳥類が絶滅危惧種から除外されたが、WWF(世界自然保護基金)によれば、世界の生物多様性が過去50年で68%喪失したことが明らかになっている。2021年10月に開催される第15回生物多様性条約締約国会議(COP15)では、生物多様性回復のための2030年目標が合意される予定で、これからの持続可能な社会を方向づける重要な決定になると目されている。
生物多様性リカバリーの測定可能で確実な実行につなげられる目標を設定するにあたり、WWFを含む約40の大学、保護団体、政府間機関で構成されるコンソーシアムは、陸域の生物多様性の減少をくい止め、回復させる方法についての研究を続けている。
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